アサイ?フカイ?

漏斗胸とバイクと私 5

目が覚めて、吐いた。

お腹の中は空っぽだから、胃液だ。
吐いたと書いたが、正確にはうまく吐けていない。
なぜなら、口からホースを突っ込まれ、ホースは口から抜けないように固定されていたので、胃液は喉のあたりでゴボゴボ言ってる。

ベッドのそばにピンク色の白衣を着た看護婦さんが数人にて、私が目を覚ましたことに気が付き、胃液を掃除しながら、話しかけてくる。
話によると、どうやら私は今、自分で息をしていないらしい。立派な機械さんが、強制的に酸素を送り込み、私を生かしているのだそうだ。

最初に、目が覚めたと書いたが、実際には違う。
全身麻酔が切れ、体中の各機関が、正常に再起動し始めたのが正解だ。

それってどういう事かというと、痛みを感じる神経も、正常に機能し始めたってことだ!

うわぁ、死にそうに辛く、痛い!

なんだこれ!!!???
いったいどうなっている???

また吐いた。

やっぱりうまく吐けない。
涙も沢山出てる。

助けてくれよ!!!!!

看護婦さんが、慌ただしく動いている。
胃液を掃除しながら、色々聞いてくる。
もちろん私は、ホースが口に入ったままなので、首を縦か横に振ってでしか、返事ができない。

うぉぉぉぉぉ!痛てぇ!!!!!
なんなんだ!なんなんだよこの痛み!!!!!

激痛の中、自分の置かれている状況が少しずつ分かり始める。

体中に心電図を図っているような、センサーケーブルが沢山。
腕には点滴、胸には、大きなガーゼのような物が貼りつけてある。漏斗胸はどうなった!?
腹にはパイプが刺さり、赤い血が流れ出している。
太股の付け根の動脈には、輸血のパイプが刺さり、私の大事なものには、細いホースが刺さっている。
そして口には、太いホースが、肺まで差し込まれている。

とにかく、ホースとコードだらけ。

また吐いた。

くそ!くそ!くそ!!!!!
苦しい!痛てぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!
これで生きてるって言えるのか???

後に分かるが、ピンク色の白衣の看護婦さんは集中治療室(ICU)専門の看護婦さん。
てことは、ここは、集中治療室。
簡単にいえば、生きるか死ぬかの人ばかりの治療室。

てことは、私の置かれている状況も、そういう事だ。

初め、この激痛は、それほど続かないと思っていたが、それは大間違い。

これからが、本当のショータイムのはじまりだった。
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by keen44 | 2011-07-09 20:48 | ひとりごと